実りの秋に合わせたい季節限定酒、ひやおろし

日に日に秋が深まってまいりました。

最近、酒屋の店頭でよく見かける
「ひやおろし」という限定酒をご存じでしょうか。

「ひやおろし」とは9月から木枯らしが吹く
初冬まで楽しめる、この時季だけの限定酒です。

その歴史は古く、江戸時代にさかのぼります。

冬にしぼられた新酒は、暑さで劣化しないよう
春先に一度だけ火入れ(加熱殺菌)をし、
ひと夏を超してから出荷されてきました。

当時は保存性の問題で広く流通できなかったため、
「ひやおろし」は酒蔵の近くに住む人しか
味わうことのできない貴重なお酒だったようです。

ちなみに、「ひやおろし」の名は文字通り、
2度目の加熱殺菌をしない<冷や>のまま、
貯蔵していた大桶から樽に<卸(おろ)して>
出荷していたことに由来。

熟成酒ならではの穏やかな香りと、まろやかな味わいは
秋を迎えてその酒質が向上することから、
酒党ファンの間では
「秋あがり」の名でも親しまれ珍重されています。

暑い夏の間をひんやりとした蔵で眠って過ごし、
秋の訪れとともに目覚める「ひやおろし」は、
旨味をたっぷりたくわえた豊穣の秋の味覚にふさわしい、
なめらかな口あたりが魅力のお酒です。

しかも、生詰めのこのお酒の面白さは
季節とともに瓶の中でさらに熟成が進み、
その味わいが、よりまろやかに移ろうこと。

深まる秋の味覚とぜひ、合わせて楽しみたい
大人ごころをくすぐる、小粋なお酒です。

当館から鶴岡方面へ車で30分。
歴史ある酒造りのまち、大山地区ではこの時季、
名酒蔵が自信をもって醸した「ひやおろし」が登場!

試飲ができる酒蔵もありますので、
当館への行き帰りに、お気に入りの味わいを
見つけてみてはいかがでしょうか。